2016年2月2日火曜日

社会に必要な仕事

NHSを創設したAneurin Bevan首相がNHSの患者を見舞う様子(1948年)


今日で、出産から1ヶ月。
英国での出産は私にとってとても貴重な体験となった。
特に、よくメディアで批判されるNHS(英国の医療サービス)が実際にどのようなものか、人の意見に頼らずに、自分自身で体験し、意見をもつことが出来たこと。
結論からいうと、素晴らしいサービスだった、最初から最後まで。
出産を通じて私が接した、全てのNHSのスタッフが、誇りと情熱を持って私のお産を助けてくれた。
もちろん税金は払ってるけど、実際にお産にかかる費用はなし。
英国が世界に誇るべき社会保障だと思った。
お産を通じて、実際に社会が必要としている仕事があるのだな、とひしひしと感じた。
助産婦さんに、お医者さん、看護婦さん、、
最近では、「社会に新しい価値を生み出す仕事」がメディア的に注目されているように思う。
クレバーなアイデアで新事業を興して、メディアにのっかって、一気にお金を稼ぐような仕事。
今の若者もこういった仕事に憧れを抱いているように思う。
だけど、今回の体験を通して、本当に社会が必要としている仕事を、世間としてもっとちゃんと評価すべきだと思った。
特に、英国での出産は、助産婦さんが出産の指揮を執り行う。
14時間かかった出産で、私の担当になった助産婦さんは、私のメンタル面までしっかりサポートしてくれた。
彼女なしでは、私の出産体験はきっと辛いものになっていたと思う。
雑談した中で、「助産婦さんとして、なにが大変?」と聞いたとき、彼女は、「出産という体験は、ある女性にとっては、自分の子供が生まれるという希望に満ちた瞬間であり、また、ある女性にとっては、死産になり、悲しみに包まれる瞬間になる。そういった女性たちをサポートするために、一緒に気持ちを分かち合う必要がある。一緒に喜び、そして一緒に悲しむこと。ただ、その自分自身の気持ちの切り替えが一番難しい。」と彼女は答えた。
なんだか、彼女の言葉を聞いて、じーんとした。
社会が絶対に必要としている仕事。
もっと、こういった仕事がちゃんと評価されるべきだとつくづく感じた。