2018年9月21日金曜日

大変ご無沙汰していました。
娘が生まれて以来、なかなかブログを書く、物理的、精神的な余裕がなかったのですが、子育てもだいぶ落ち着いてきて、なんだか急に日本語でつぶやきたくなりました。
これからは、英国での子育て、仕事、英国文化などについて、当ブログにて語っていければと思います。

2016年2月2日火曜日

社会に必要な仕事

NHSを創設したAneurin Bevan首相がNHSの患者を見舞う様子(1948年)


今日で、出産から1ヶ月。
英国での出産は私にとってとても貴重な体験となった。
特に、よくメディアで批判されるNHS(英国の医療サービス)が実際にどのようなものか、人の意見に頼らずに、自分自身で体験し、意見をもつことが出来たこと。
結論からいうと、素晴らしいサービスだった、最初から最後まで。
出産を通じて私が接した、全てのNHSのスタッフが、誇りと情熱を持って私のお産を助けてくれた。
もちろん税金は払ってるけど、実際にお産にかかる費用はなし。
英国が世界に誇るべき社会保障だと思った。
お産を通じて、実際に社会が必要としている仕事があるのだな、とひしひしと感じた。
助産婦さんに、お医者さん、看護婦さん、、
最近では、「社会に新しい価値を生み出す仕事」がメディア的に注目されているように思う。
クレバーなアイデアで新事業を興して、メディアにのっかって、一気にお金を稼ぐような仕事。
今の若者もこういった仕事に憧れを抱いているように思う。
だけど、今回の体験を通して、本当に社会が必要としている仕事を、世間としてもっとちゃんと評価すべきだと思った。
特に、英国での出産は、助産婦さんが出産の指揮を執り行う。
14時間かかった出産で、私の担当になった助産婦さんは、私のメンタル面までしっかりサポートしてくれた。
彼女なしでは、私の出産体験はきっと辛いものになっていたと思う。
雑談した中で、「助産婦さんとして、なにが大変?」と聞いたとき、彼女は、「出産という体験は、ある女性にとっては、自分の子供が生まれるという希望に満ちた瞬間であり、また、ある女性にとっては、死産になり、悲しみに包まれる瞬間になる。そういった女性たちをサポートするために、一緒に気持ちを分かち合う必要がある。一緒に喜び、そして一緒に悲しむこと。ただ、その自分自身の気持ちの切り替えが一番難しい。」と彼女は答えた。
なんだか、彼女の言葉を聞いて、じーんとした。
社会が絶対に必要としている仕事。
もっと、こういった仕事がちゃんと評価されるべきだとつくづく感じた。

2016年1月21日木曜日

追悼~アラン・リックマン




新年早々、デイビット・ボーウィーに続き、アラン・リックマンも亡くなった。
二人とも国民的スターだったこともあり、英国メディアはこのニュースを大きく報道、そして、多くのイギリス国民が2人に追悼を捧げた。
私にとって、特に、アラン・リックマンの死去はちょっとショックだった。
そんなに彼の出演作品を見たわけではなかったけど、幾つかの作品はとても印象に残っていた。
ひとつは、ジェーン・オースティン作「Sense and Sensibility 邦題:いつか晴れた日に」で、ケイト・ウィンスレット演じるマリアンヌに好意を寄せる誠実なブランドン大佐。
もうひとつは、「Love Actually」で、エマ・トンプソン演じるカレンという堅実な妻を持ちながら、秘書からの誘惑に負けそうになるDirector役のハリー。




私生活で、あまり浮いた噂のなかったアラン・リックマン。
生涯独身を貫くのかと思っていたら、19歳と時に出会った女性と最近になって結婚。
50年間、ひとりの女性を愛し続けるってなんだか感動しちゃった。
彼の私生活が気になって調べてみると、ロンドンの西部、Actonの労働者階級の家庭に生まれ、スカラシップを得て、ロンドンでも有数のパブリックスクール(私立学校)へ。
その後、Chelasea College of Art & Design、名門Royal College of Art (王立美術学院)を卒業して、その後、グラフィックデザインの会社を立ち上げるまでになる。
ただ、俳優になる夢を捨てきれず、RADA(王立演劇学校)で学び、その後、舞台で頭角を現していく、、
彼の特徴的な声も、受けた教育によるとことろが大きいかも。
彼の死を受けて、あらためて、他の作品を見てみようと思う。
ご冥福をお祈りします。

2016年1月19日火曜日

大変ご無沙汰しています



大変ご無沙汰しています。
ご無沙汰もご無沙汰、2年半ぶりのブログ更新。
更新しない間、人生に変化が色々とありましたが、一番の変化は「出産」、そう、1月2日に待望の娘が生まれました。
今日で、17日目の娘はすくすくと育っており、私にとっても、人生のプライオリティーが仕事から子供になりました。
生まれる前は、出産したら自動的に「母親脳」になると思っていたのだけれども、実際には、脳は今までと変わらず、、ただ、母親としての視点で世の中が見えるようになってきました。
とりあえずは、育児に専念する予定ですが、日々思うことを、このブログの再開と共に、綴っていこうと思います。
それでは、2016年も宜しくお願い致します★

PS 写真は、助産婦さんに体重を量ってもらっている我が娘。コウノトリに運ばれてきたみたい、、

2013年7月26日金曜日

BBCラジオ公開収録:Edwyn Collins


だいぶご無沙汰していました。
ロンドンは、ここ数週間、最高に天気が良くて、夏を満喫しています。
仕事がオフの昨日、ビル夫に連れられて、BBCのMaida Vale Studioに、BBC Radio 4「Mastertapes」の公開収録に参加してきた。
Maida Valeスタジオは、BBCが所有する音楽スタジオで、クラシックからポップミュージックまで、伝説になるようなコンサートが数多くレコーディングされてきたスタジオ。
BBC Radio 4「Mastertapes」は、英国の音楽界の歴史を作ってきたミュージシャンをゲストに迎え、曲の収録の合間に、トークセッションもあり、また会場のファンからの質問もあり、というラジオ番組、、番組も、A面とB面から構成されている。




音楽に疎い私にとっては、今までのゲストで名前がわかるのは、ポール・ウェラーくらいだけど、
この収録のチケットは、一般には殆ど告知されないみたい。
今回、スコットランド出身のEdwyn Collinsをゲストに迎えた回の収録に参加。
インディーズ音楽好きで、Edwyn Collinsの大ファンであるビル夫にくっついていった。
一番ヒットした、「Girl Like You」は聞いたことがあったけど、それ以外、Edwynについては何も知らなかった。
スタジオに入る前に並んでいると、杖をついた男性が通りかかった、、ビル夫が「彼がEdwynだよ」と。
スタジオに入ると、2005年に、脳溢血で2度倒れ、右半身不随のEdwynが、奥さんのGraceと共にステージに上がった。




トークの合間に演奏を挟み、まさに、2時間半という時間があっという間に過ぎてしまった。
なによりも、心に響いたのは、EdwynとGraceの明るさであり、笑顔。
懸命なリハビリを経て音楽活動を再開したEdwynは、脳溢血で倒れる前の自分はとても傲慢だったと言っていた。
ステージでは、つらさや悲しさは微塵もなく、とにかくポジティブにトークを繰り広げるEdwynを見て、人生のイベントが人の幸せや不幸を決めるのではなく、自分自身が人生の舵を握っているんだと思った。
彼の曲でもある「Low Expectations」、、まさに、「生きている」こと自体がラッキーなことなんだと。
会場からあふれるEdwynファンの暖かさがじんわりと伝わってきた。
ロンドンにいても、こんな経験って、なかなかできないな、、
この回の放映は今秋10月とのこと、、番組はBBCウェブサイトからダウンロード可能なので、アップしたら、またブログでお知らせします。

2013年5月4日土曜日

素材の個性




は~、長かった一週間が今日、やっと終わった。
英国は、月曜日が、Bank Holidayの休日なので、今日から三連休。
現在、ロンドンの南西部のKingstonという住宅地のプロジェクトを手掛けている。
昨年一緒に仕事をした英国人建築家から紹介されたプロジェクトで、とんとん拍子に決まった仕事。
その分、期待に応えないといけないため、ちょっぴりプレッシャーも感じてる。
昨日は、パートナーのダニエルと一緒に、石材を見に行ってきた。


 

Kingstonからさほど遠くない、Surbitonにある石材ヤード。
中国、ブラジル、イタリア、、世界各地から取り寄せられた石が整然と並べられていた、、
プロジェクトで使う予定の石だけをさっさっと見て帰る予定が、他の石材のあまりの美しさに感動して、結局長居をしてしまった。
やっぱり素材を見るって面白い、、自然が創り出す芸術品とはまさに石だな思った。
まるでモダン・アートを見ているみたい、、ひとつとして同じ石はない。
模様だけではなく、すごく硬い石なのに、とてももろかったり、うっとりするくらい美しく、すぐしみになる石だったり、、




完璧な石なんてないのだけれど、ある特徴に惚れて、その石を良しとする。
まるで、人の個性と一緒だな、と思った。
やっぱり、人も素材も、完璧でないほうが美しい。
私の人間関係においても、そつなく生きている人より、感情的に少し不器用に生きているほうが魅力的だと思う。
と、ロンドンで石を眺めながらふと思いに耽った一日でした。


2013年4月15日月曜日

ロンドン再発見


週末、ビル夫と一緒に、Photographer's galleryで開催中の、英国を代表する、フォトジャーナリスト、Bert Hardyの展覧会を観て来た。
Bert Hardyのプリント販売を目的とした展覧会で、規模はとても小さかったけど、とても見応えのある展覧会だった。
日常の中にある美しさを捉えた写真の数々、、Bert Hardy は、とても感受性豊かな人なんだと、写真を見ていてつくづく思った。
30分くらいで展覧会を見終わってしまい、せっかくロンドンの市街に出てきたのに、すぐに自宅に戻るのはもったいないと、ビル夫と、Oxford Street 周辺を散歩した。

  
Oxford Streetは、言わずと知れた観光地。
立ち並ぶファッションのお店を目掛けて、多くの観光客でごった返していた。
いつも、思うことなのだけど、ロンドンって、どんな騒がしい場所でも、一歩道を入ると急に静かになる。
ビル夫が、最近仕事で利用したイタリアンレストランがとても美味しかったから、お散歩のついでに見せると、レストランの周辺、Great Tichfield Street を歩き回った。
お洒落なカフェに、デザインショップ、昔ながらのサンドイッチショップ、特に、この界隈は多くのパブがある。

 
歩いていると、名探偵ポアロに出てきそうな、アールデコ建築のアパートの遭遇。
ああ、美しい、、とくに、手摺のディテールが、まさに、「先へ進め」のアールデコ調。
てくてくと、Oxford Streetから、Marble Archまで歩いて、セントラルラインで家路へ。
歩くだけでこんなに楽しい街って他にあるのかな。
また、ロンドンを再発見した日曜日でした。

2013年4月4日木曜日

ロンドンで働くこと


今日は、ポーランド出身のビジネスパートナーの誕生日。
今朝、本人に言われるまで、誕生日のことを全く忘れていた。
ひと段落着いたときに、近所のワインショップで、シャンパンを購入。
もう一人のビジネスパートナーであるコロンビア出身の彼の奥さん、リトアニア出身の取り付け業者さんと私で、和気あいあいと、ケーキとシャンパンでお祝いをした。
ポーランドxコロンビアxリトアニアx日本。
ほぼ毎日、顔を合わせていると、仕事仲間というよりか、家族に近い存在になってきた。
クライアントさんは、ほぼ英国人だけど、プロジェクトは、この外国人チームで進めている。
国は違えど、仕事に対する姿勢は全く同じ。
英国人に負けじと、このチームで頑張る毎日、、英国人のクライアントさんは、むしろこのメンバー構成に興味をもってくれている。
祝杯を4ヶ国語であげた今日の夕方。
仕事を通して国際交流、、やっぱり、ロンドンで働くってむちゃくちゃ面白い。。

2013年3月30日土曜日

ジェイミー・オリバーのレストラン「Canteen」




最近、仕事ばかりで、本当にアンチソーシャルな日々を送っていて、まともに友人に会っていなかった。
ということで、イースターの昨日、親友と久々にランチをしようと、Baker Streetにある、英国人シェフ、Jamie Oliver(ジェイミー・オリバー)が経営するレストラン、Canteenに行ってきた。
メニューはすべて英国料理。
毎日、日替わりのローストが食べられて、今日は「豚のロースト、アップルソース添え」。




ボリュームたっぷりの豚のローストに、茹でたキャベツににんじんが添えてある。
ローストポテトは、揚げ焼きといった感じで、外側がカリカリ、中がほっくりと美味しかった。
英国を代表するパブのおつまみ、Pork Scratchingも頼んだ。
Pork Scratchingは、豚の皮だけをオーブンでしっかり焼いたもの。
塩もしっかり振ってあり、表面はかりかり、裏にはじとっとラードがしっかり付いている。
とっても美味しいのだけど、カロリー大でとっても体に悪い!
ま、たまにはいいか。



デザートは、またまた英国のザ・デザート、「アップルクランブルのカスタード添え」。
りんごのスライスにビスケットの具をのっけて焼いたようなお菓子。
アップルクランブルは熱々で、カスタードは冷たい、このコントラストが美味しい。
なんだか、讃岐うどんの食べ方みたい、、
このレストラン、Canteenは、食事も美味しいけど、何よりもいいのは、余裕がある空間の作りのレストランだということ。




ゆったりと座れるソファー、素敵なインテリア(有名なインテリアデザイナーによる、、)で、インターネットも無料で、各席にコンセントまでちゃんとついている。
仕事の打ち合わせにも使えそうなレストラン。
ここは定期的に利用するこのになりそうなレストランです。

2013年3月25日月曜日

ロイヤルアカデミー「George Bellows」展



ちょっとお休みしていたブログを再開することにしました。
もうすぐイースターのロンドン、春になるどころか、冬に逆戻りしていて、明日は、体感温度、なんとマイナス4度!
50年ぶりに寒い3月だとか。
さて、先週の金曜日、素晴らしい展覧会に行ってきたのでブログでお知らせしようと思います。
Royal Academyで開催中の展覧会「George Bellows」展
アメリカを代表する現代画家なのに、英国での知名度は低く、私も今回の展覧会で彼の名前を初めて知った。

 

20世紀の初めから、第一次世界大戦後あたりに活躍し、42歳で急逝したGeorge Bellows。
オハイオからアートを学ぶためにニューヨークに移り住み、印象派の影響をうけつつ、彼の目に映った日常をキャンバスに描いた。
アフリカ移民の子供たちが路上で遊ぶ姿、当時は違法で、プライベートクラブで開催されていたボクシングの試合、雪が積もったハドソン川沿いの風景、、
ボクサーの顔から流れた血が、筆の勢いとともに、鍛えられた体の肌色に混じりあっていく、、



彼の目を通して見た日常はここまでも美しく、また美しさを切り取っていくなかで、具象が抽象になっていく瞬間の絵画。
久々に、一枚一枚の絵に見入ってしまった展覧会だった。
金曜日の仕事帰りに、ひとりでのんびり鑑賞した「George Bellows」展。
こういったロンドンの楽しみ方もありかな、と思った。。お勧めの展覧会です。